[プロフィール] 十六夜咲夜 : 名称:十六夜咲夜
年齢:??
大まかな性格:基本的に冷静。しかしどこか天然なところも存在する。
戦闘方法:『能力』と自らの技術を使ったナイフ投げによる遠距離戦が得意。近接もやれないわけではない。
スタンド:???
負けの許容:負けるために来たけれど、相応の負け方がしたい
略歴:ある男の娘として誕生。父親はすぐ行方をくらまし母親もまたしばらくして育児放棄。その後実父の知り合いと名乗るある女性に拾われ、その館でメイド長を務める。この街には『何か』に引き寄せられるように来訪。主人も平然とそれを容認している。

[メイン・ヘブン]   :

[メイン・ヘブン]   :

[メイン・ヘブン]   : 「そうか。お前は受け継いだのか」

[メイン・ヘブン]   : 「いずれ迎えに来てやろう」

[メイン・ヘブン]   :

[メイン・ヘブン]   : 「貴女ね。彼が言ってたのは」

[メイン・ヘブン]   : 「彼が作った子の後始末を他人に任せるとはいえするなんて、珍しいわよ」

[メイン・ヘブン]   : 「貴方は幸せね」

[メイン・ヘブン]   :

[メイン・ヘブン] 十六夜咲夜 : 不思議な感覚だった。
知らないのに、懐かしい感じがして。
気が付いたらここまで来ていた。

[メイン・ヘブン] 十六夜咲夜 : お嬢様にそう言ったら、「行きなさい」と。
許容ではなく、命令のようだった。

[メイン・ヘブン] 十六夜咲夜 : 最近になって突然浮き出た、星形の痣が。
これから起こることを、暗示しているようで……

[メイン・ヘブン] :

[メイン・ヘブン] : 「なるほど。特定の『力』を受け継ぐのは娘の方が多いか」

[メイン・ヘブン] : 「アイツで一人目……二人目は」

[メイン・ヘブン] :

[メイン・ヘブン] :

[メイン2] 十六夜咲夜 :

[メイン2] 十六夜咲夜 :

[メイン2] 十六夜咲夜 : お嬢様に聞かされた。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 私には腹違いの兄が三人居るって。
私には腹違いの弟が一人居るって。
私には腹違いの妹が一人居るって。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 顔も知らない父の子なんて、興味はなかったから
それ以上は聞かなかった。

[メイン2] 十六夜咲夜 : ……今になって、その『血』の運命が私に回ってきたのは、何の因果か。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 感じる。私と近しい気配を。

[メイン2] 十六夜咲夜 : きっとこの気配が……ディオ・ブランドー。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 私は無意識に、夜空の中漂う煙に。
……そして、その近くにある気配に近づいていた。

[メイン2] エイハブ :  

[メイン2] エイハブ : 「───……」
口寂しいというわけではない。
だが、ただ何かに浸りたい。一心不乱に先ほど消したばかりの光を再び灯らせて
煙を味わい続けていた。

[メイン2] エイハブ : やけに静かだ。
まだ"石仮面"は見つかっていないというのに、茹だるような熱気はもはや消え去り……残るは手を悴む寒気。

[メイン2] エイハブ : だが───妙に落ち着かない。
後は"石仮面"だけ……DIOは再び、葬られた。
そしてスーパーエイジャも、今はセナが持っている。

[メイン2] エイハブ : 何か───俺達は、見落としているとでもいうのか?

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「あの」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「少し、よろしいでしょうか?」

[メイン2] エイハブ : 「───」
声のする方に目をやれば、そこに立っていたのは
"メイド服"を靡かせる───女性だった。

[メイン2] エイハブ : …………カバーストーリー、そしてその実……避難命令は、まだ出ているはずだ。
逃げ遅れた、一般人?
この出で立ちで、そう思えるわけもない。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「……『気が付いたら、ここに居まして』」

「『案内を頼めるでしょうか?』」

[メイン2] エイハブ : 「……」
少し、間をおいて。

[メイン2] エイハブ : 「───具体的にはどこに、あるいはどんな所に"案内"してほしいのか
 …………『訊こう』」

妙に『強調』されるが、眉を僅かにひそめる事もなく
こちらも『強調』して返す。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「そうですね……どこに、と訊かれると困りますが」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「……『親族の遺骨がある場所』、ですかね」

[メイン2] エイハブ : 「───アンタの親族、か
 ここらに『墓地』も『納骨堂』もなかった筈だが……」

[メイン2]   : ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

   ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

[メイン2] エイハブ : 「『アンタの親族の名を訊いても良いか』」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「……」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「『ブランドー』」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「『ディオ・ブランドー』」

[メイン2] アヌビス神 : ───!!?

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「そう聞いています」

[メイン2] エイハブ : 「…………」
電子タバコの灯りを消すと、それをしまい込み。
彼女を凝視する。

[メイン2] エイハブ : 「ディオ」

[メイン2] エイハブ : 「イタリア語で……"神"を意味する。
 ……D(ディー) I(アイ) O(オー)……」

[メイン2] エイハブ : 「…………その男は

 同姓同名でなければ」

[メイン2] エイハブ : 「『先ほど───SPW財団によって葬られた』」
正確には、そこに所属する"セナ"と、その協力者によって。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「そうですか」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「私が聞いてるのはッ!!!『そいつの遺骨』がドコだって聞いてんだよこのタコッ!!!!」

[メイン2] エイハブ : 「───俺は『オクトパス』じゃあない
 『スネーク』だ……」

そう言い、目を細めると───

[メイン2] エイハブ : 「『遺骨』は知らん
 葬った、それ以外に俺にはわからん」

[メイン2] エイハブ : DIOの『遺骨』───なぜ彼女はそれを求めているッ……?

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「タコだとかヘビだとか……貴方は国語の教師であらされるのでェ!?」

「『遺族』に対する『敬意』ってのがあるでしょォ~~~がァ~~~」

[メイン2] エイハブ : 「残念だが……国語は専門ではないんでな
 それに『敬意』をはらおうにも……敵意剥きだしと言わんばかりの『態度』を
 取られては───そうもいかん、だろう?」

[メイン2] エイハブ : 「その『遺骨』をどうするか
 今度はこちらから『質問』させてもらおうか」

[メイン2] エイハブ : 悴みかけていた手に、汗が滲み始める。
そして、寒気さえも忘れるほどに───茹だる熱気……という幻視。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「さあね。私にもよくわからないわ」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「……だけどね、なぜかどうしても『欲しい』のよ。知りもしない家族に情でも沸いてるってのかしら?笑えるわ」

[メイン2] エイハブ : ……『引力』だというのか これが……。
知りもしない家族に 情を沸かせている?
本当にそうだというのか……!? だが彼女がディオの関係者だとするなら……

[メイン2] エイハブ : この施設の中に入らせる事は

───間違いなく『マズい』

[メイン2] エイハブ : ジョジョ……ジョナサン・ジョースターと会えば……
あるいはスーパーエイジャを、その目に捉えた時。
どう出るか 俺には……『恐ろしい』

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「それでッ!!『遺族』への『配慮』はどうなったのよッ!?まさか『ディオ・ブランドー』だからって理由で父親の骨も見せてくれないんじゃあないでしょうね、ヘビの叔父様ァ~~~」

[メイン2] エイハブ : 「……『遺族』への『配慮』だと?
 ここに無い物を見せて アンタが納得するか? しないだろう……
 ……だが あの男が葬られた現場なら 俺には検討がつくがな

 ブランド―の親族だけあって『血気盛ん』だな………落ち着く事だ」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「じゃあ『案内』してもらいましょうか……その『現場』にッ!」

[メイン2] エイハブ : 「ああ……だがッ!!!」
バッ、と走り出し。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「?」

[メイン2] エイハブ :
  レース
「『競争』だ……

 仮に『遺骨』が存在するなら、それを『回収』せねばならん
 この俺が、先に……」

[メイン2] 十六夜咲夜 :
   レース
「『競争』ねぇ」

[メイン2] エイハブ : 「アンタの行動原理はあまりにも不可解だ……

 『遺骨』は確実に回収し……粉砕して───渡してやる」

[メイン2] エイハブ : 「見つからなければ…………

 それはそれで『幸い』だがな…………」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「相手の『能力』も把握せずに安易な勝負を仕掛けるのは」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「少し、愚かなんじゃないかしら?」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「……『ルナ・ダイアル』」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 瞬間、その姿がそこから消えて

[メイン2] アヌビス神 : 「!!! エイハブ───あの女が消え……」
見えなかったッ!! 動きが……

[メイン2] 十六夜咲夜 : エイハブの走る『先』に現れる

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「追いつけるかしら?」

[メイン2] エイハブ : 「ッッ!!! ───速いな、いや……『スタンド能力』……か?」
悟られないよう通信端末を『ON』にするッ!!!

[メイン2] エイハブ :  

[メイン2] エイハブ : 『DIOの関係者と交戦中───』

『場所は……いや、俺と女の向かう先は……』

[メイン2] エイハブ : 『ザ・ワールドが葬られたエリアだッ!!』

[メイン2] エイハブ :  

[メイン2] 十六夜咲夜 : ルナ・ダイアルにスタンドの『ビジョン』はない

[メイン2] 十六夜咲夜 : これは彼女が、『幽波紋』を知らぬ頃から共にあった『能力』

[メイン2] 十六夜咲夜 : 明確な『ビジョン』を持たぬ代わり

[メイン2] 十六夜咲夜 : その単純な『能力』は

[メイン2] 十六夜咲夜 : 『DIOの世界』を軽く越える

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「貴方の時間も、私のもの」

[メイン2] エイハブ : 「俺の時間が───アンタの『物』だと……!!!
 ……『DIO』と繋がりのある者らしいな」

[メイン2] エイハブ : 「アンタも……『時間』かッ!!!」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「ええ。……『も』?」

[メイン2] エイハブ : 「───『競争』がてら……
 話してやろうか アンタ───お前を引き寄せる『DIO』のスタンドを」

[メイン2] エイハブ : 「ヤツは……『時間』を止めた
 ……お前も同じか───同じタイプのスタンドか」

[メイン2] エイハブ :
      ザ・ワールド
「名は───『世界』」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「そう……」

[メイン2] 十六夜咲夜 : ザ・ワールド。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 彼女は内心驚いた。
自分が名付けた『符』と同じ名が聞かされたから。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 無意識に、自分は血に縛られていたのかもしれない。

[メイン2] エイハブ :
    レース
熾烈な『競争』は始まった。
この夜空の下を駆ける『蛇』と『血』───。


 "運命"に縛られた者同士の、競争劇が。

[メイン2] エイハブ :  

[メイン2] エイハブ :  

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ : 「───時間を……止めたのか?
 あの女は……それだけだと信じたいが」
鯉口を寛がせていた───アヌビス神に、『義手』で触れる。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「にしても、厄介ね」

[メイン] エイハブ : 「───何だと?」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「『能力の種』が割れているというのは」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「知られてさえいなければ、能力を『見抜く』前に仕留めることだって出来る。私の能力は『そういう』タイプの力よ」

[メイン] エイハブ : 「だが
 いくら自分が引くのが『ジョーカー(ババ)』……だと目に見えて……わかっていてもだ
 絶対に引かなければならなければ 避けられず
 『ジョーカー』を引き
 抱え落ち……目に見えた『敗北』に陥る…………」

[メイン] エイハブ : 「俺は確かにお前の能力を『見抜いた』が……

 お前はその、『絶対にババを引かせる』ぐらいの手練れだというのは
 わかる───」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「そう?評価されているようで嬉しいわ」

[メイン] エイハブ : ───アヌビス神。

牽制だ。『透過』!!!

[メイン] アヌビス神 : ───わかっている。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「だけど」

[メイン] エイハブ : 「!!」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「自分の都合のいい方に考えようとするのは直した方がいいわね」

[メイン] 十六夜咲夜 : 指を鳴らす。

[メイン] エイハブ : !?

───何。

[メイン] 十六夜咲夜 : 途端、スネーク以外の全てが加速する。

[メイン] 十六夜咲夜 : ……いや。
彼の感じる『時間』が、長く長く、引き伸ばされているのだ。

[メイン] エイハブ : 馬鹿な

『時間停止』ではない、これは……俺以外の『時間』が急加速……いや
引き延ばされている。俺の時間が。鈍い。
緩やかな風すらも、俺の足に絡みついてくるほどに。

[メイン] エイハブ : だが───

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……あら。『こっち』は初見だったみたいね」

[メイン] エイハブ : 咲夜からして、ゆっくりと、だが
アヌビス神を───手元から

[メイン]   : ギャンッッ!!!

オォオオオ────ッッッッ!!!

[メイン]   : アヌビス神が
咲夜には『透過している』と悟られないよう、凄まじい速度で『回転』し
投擲される───

[メイン] 十六夜咲夜 : 「剣を投げ……?」

[メイン] エイハブ : 「こ……れ……も……

 『初見』

 …………だ………ろう」

[メイン] 十六夜咲夜 : 咄嗟にその場から消えるように、その軌道から外れて現れる

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……ヤケかしら?」

[メイン] アヌビス神 : ───フッ かかったなッ!!
そしてエイハブ……すまねえが

[メイン] アヌビス神 : 掠る程度なら『透過』は……『解除』するッ!!!

[メイン]   : アヌビス神は、エイハブの投擲方法によるものか
ブーメランのように───返ってくるッ!!!
そしてその進路は───

[メイン]   : 咲夜の『肩』を、掠ろうと───

[メイン] 十六夜咲夜 : 「ッ!?」

[メイン] エイハブ : 「ッ───」
アヌビスめ……だが、"通用"したか……俺のやり方も
この乱れ狂う『時間』にッ!!

[メイン] 十六夜咲夜 : 肩をかすめ、そのまま回って着地する

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……『二度』は通用しないわよ」

[メイン] アヌビス神 : 「『二度』通用しないのは……こっちの『台詞』だぜ」

[メイン] エイハブ : 「…………お前は、時間を止め、そして加速させる事すらできる
 俺にはそのどちらも、ましてや時間を遡らせる事もできん」

[メイン] エイハブ : 「だが……」

[メイン] エイハブ : 「『時間稼ぎ』はできた」

[メイン] エイハブ :  

[メイン] 十六夜咲夜 : 「『時間稼ぎ』……!?」

[メイン] 十六夜咲夜 : しまった……『遊びすぎた』……ッ!

[メイン] :

[メイン] : 「……あっちが、敵。」

[メイン]   : 狙いを定めて。指鉄砲を構え。

[メイン] マキマ : 「ぱん。」

[メイン] 十六夜咲夜 : 殺気。

[メイン] 十六夜咲夜 : 再びそこから姿を消して、別の場所に現れる

[メイン] 七七 : 「…………。惜しい。」

[メイン] マキマ : 「ありゃ。外れちゃった」

[メイン] エイハブ : 「…………来てくれたか、藪をつっついて蛇を出すのが好きなお嬢さんで助かった……」
咲夜を見て、ニタリと笑いながら膝をついて息を上げる。

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] 七七 : 「こっちは、味方。」

[メイン] エイハブ : 「ああ───聞いている 七七……『縁起』の良い名前だな
 『7』が『二つ』だ」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……新手が二人」

[メイン] マキマ : 「無事のようだね、スネーク」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「『遊びすぎた』わね」

[メイン] エイハブ : 「ああ───……」
マキマの右手を───生身の右手で触り、起き上がる。

[メイン] エイハブ : 「だが ここからは『遊び』じゃあない
 …………お前のその能力は『脅しの道具』じゃあない」

[メイン] エイハブ : 「そして……こっちも『同じ』だ
 『遊び道具』も『脅しの道具』も無い……」

[メイン] 十六夜咲夜 : 懐中時計を取り出す。

[メイン] 十六夜咲夜 : 先述した通り『ルナ・ダイアル』はスタンドビジョンを持たない

[メイン] 十六夜咲夜 : その引き換えに得た『父』を超えた『能力』

[メイン] 十六夜咲夜 : 『停止時間』は

[メイン] 十六夜咲夜 : 『無制限』

[メイン] エイハブ : ───『懐中時計』…………?

まさか…………
あれが『スイッチ』か……!!? いや早計か?

来る───…………

[メイン] エイハブ : …………

[メイン] アヌビス神 : …………

[メイン] 七七 : …………あの『DIO』と同じ能力なら。認識できなければ━━防御に回るしかない、はず。

[メイン] マキマ : ふむ…未来の悪魔。見せてごらん。

[メイン] 七七 : 素早く身体を『透明化』させ━━雌伏する。

[メイン] 十六夜咲夜 : 急激。かの男があの時展開した数を軽く越える数の『ナイフ』。

[メイン] 十六夜咲夜 : それが眼前に広がると同時に、彼女そのものは既に遠ざかるように駆け出している

[メイン] エイハブ : 「───!!!」
雨、否……『ナイフ』ッ!!!

[メイン] エイハブ : "アヌビス神"を───振るい
こちらへと迫ってきたナイフを、叩き落す……が
まるで先ほどの『お返し』でもされるかのように、肩を掠め……

[メイン] エイハブ : とうとう肩に深々と、突き刺さるッ!!!

[メイン] エイハブ : 「ッ───!!!」
DIO以上の……時間の"停止時間"を有する そう考えるしかない。

[メイン] 七七 : 「…………!!!」「グアゥゥ……!!!」
透明な『死骸』を楯に、すぐに身を隠す。

[メイン] 七七 : 「……大丈夫…?」

[メイン] エイハブ : 「───これは……」
透明な何かがナイフによって片側だけその輪郭を現しており……
七七も透明化しているのに気づき、その能力をすぐ様『理解』する。

[メイン] エイハブ : 「……助かった」
幼気な少女の手を取り、膝をつきながらも透明な何か越しに
駆けだした咲夜を見る───。

[メイン] マキマ : 「なるほど…未来で見た通りだったね。彼女の能力は…未来には特に影響は無さそうかな。」

[メイン] 七七 : 「……」
エイハブとマキマを交互に見て。

[メイン] 七七 : 「……あるの?勝算。」

[メイン] エイハブ : たとえ、『現場』に向かったとしても
『遺骨』をすぐに見つけられる可能性は薄い。
そもそも『無い』事も『あり得る』……

[メイン] エイハブ : 「俺に関しては一つだけ……だが引っかかってくれるかわからないが、な」

[メイン] マキマ : 「どうだろうね、彼を呼んでもいいけど…」

[メイン] エイハブ : 「───"彼"?」

[メイン] マキマ : 「私のヒーローとでも言っておこうかな」

[メイン] エイハブ : 「───そのヒーローを呼ぶ前に……一つ試そう
 …………七七、そして……マキマ」
初めて、その"女"の名を口にした───。

[メイン] マキマ : 「何かな」

[メイン] 七七 : 「なに?」

[メイン] エイハブ : 「───」
妖刀、アヌビス神を掲げる。
「コイツに触れれば…………たとえ『時間』をどれだけ操ろうと
 ……"効く"はずだ……まともな意識への濁流……」

[メイン] エイハブ : 「だが そう簡単に引っかかるとは思えない
 そもそも あの女はまだこの刀を"不可思議"とまでしか思っていないはずだ」

[メイン] エイハブ : 「俺の この刀を頼らざるを得ない"状況"に追い込みたい」

[メイン] エイハブ : 「…………その為に 二人でどうにか……"追い込んでくれ"
 きっとマキマ、そして七七の『能力』なら、できるはずだ

 そしてなるべく血は流さず解決すると、信じたい」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] エイハブ : 「───……」

[メイン] エイハブ : 「『頼む』」
まっすぐな目で、七七を。

[メイン] マキマ : 「…仕方ありませんね。」

[メイン] 七七 : 「うん。追い込めばいいんだよね」

[メイン] エイハブ : 「ああ───『感謝』するッ!!」
立ち上がり、ニヤリと口角を上げる。

[メイン] エイハブ : 「俺は精々……あの女にとって、"攻略済み"の歩く武器庫と言わんばかりに振舞って見せるさ」
アヌビス神を再び、鞘に納め。

[メイン] エイハブ : ───駆ける。

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ :  

[メイン]   : そして

とうとう咲夜には、それらしき『場所』が見えてくる。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……あそこね」

[メイン] : 咲夜の前に、鼠が集まってくる。

[メイン]   : 人の高さまで、積み上がり。

[メイン]   : 出てくる。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「何・・・?」

[メイン] マキマ : 「待っていましたよ。」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……貴方」

[メイン] マキマ : 「未来でここに来るのも見てました」

[メイン] マキマ : 「全て、想定通りですね。」

[メイン] マキマ : 「さて」

[メイン] マキマ : 「貴方の目的を聞いておきたかったのですが。」

[メイン] マキマ : 「『話して』くれますね」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……父の骨。それを、取りに来たの」

[メイン] マキマ : 「ふむ。それだけが目的とでも?」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「そ……それだけ。私だって、なんで取りに来たかも分かってなくて……」

[メイン] 十六夜咲夜 : (……待て。私はなぜこんなにペラペラと喋っている?)

[メイン] マキマ : 「………おや、着きましたか。」

[メイン] 七七 : 「……お話は終わった?」

[メイン] 七七 : 空中に座り込んだまま。

[メイン] エイハブ : 「───…………」
七七、マキマと違い───……好機が訪れるまで『ステルス』をする男が、一名。

[メイン] マキマ : 「えぇ。彼女は、誰かの命令で動いてる様ですね。」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……」

[メイン] 七七 : 「ふうん。」

[メイン] 七七 : 「じゃあ、悪い人じゃないなら……許す?」

[メイン] マキマ : 「彼女次第、になりますね」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……勘違いしないでくれるかしら。
 取りに来たのは……あくまで私の意志よ」

[メイン] エイハブ : "私の意思"…………
本当にその意思は……お前の"物”なのか……
いや、あるいは……。無意識的『好奇心』……『寂しさ』か……

[メイン] マキマ : 「ふむ…」

[メイン] 七七 : 「だって。」

[メイン] マキマ : 「では…拘束させてもらいましょうか。」

[メイン] 七七 : 「うん。」

[メイン] マキマ : 「蛇の悪魔。」

[メイン] 七七 : 「おいで。」
指の上に小さな虫たちがうじゃり、と。

[メイン] 七七 : ビスケットの時間だよ。
 「『limp biscuit』」

[メイン]   : 咲夜の背後から、奇妙な形をした蛇がやってくる。

[メイン] 十六夜咲夜 : ジャラ、と懐中時計を取り出して
押し込むと同時に姿を消す

[メイン] 七七 : ゆらり、とその姿が消える。

[メイン] マキマ : 「知っていますか?蛇から…スネークからは逃げられませんよ。」

[メイン] 十六夜咲夜 : 姿を別の場所に現して

[メイン] 十六夜咲夜 : 「それが貴方達のスタンド?」

[メイン] : 「…………答える意味、あるの?」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「あら、聞かせてもらっても」

[メイン] 十六夜咲夜 : 周囲に無数のナイフがばら撒かれ

[メイン] 十六夜咲夜 : 「いいんじゃないかしら!?」

[メイン] : 「………!!!」

[メイン] マキマ : 蛇の悪魔を通して、七七の位置を見分ける。

[メイン] マキマ : 簡単な話ですね。周囲とは違う温度を見つければいいのですから。

[メイン] : ざくざくとナイフの突き刺さる死骸たち。
次々とそれらに身を隠して、咲夜を観察する。

[メイン] : ……マキマにだけわかるように、透明なままこくりと頷いて。

[メイン] マキマ : さて。…あの瞬時の移動が厄介ですが。

[メイン] マキマ : 未来の悪魔で出現する位置はもうわかっているので…

[メイン] 十六夜咲夜 : 体術と、時間を停止させた移動を織り交ぜながら
無数の刃を散らす

[メイン] マキマ : さしたる問題ではありませんね。後ろです、蛇の悪魔。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……何ッ!?」

[メイン] 蛇の悪魔 : 「ヒャハハハハァ!」

[メイン] マキマ : 「そうです。そのまま拘束に入りなさい。」

[メイン] 十六夜咲夜 : (回られた……どこに移動するかを読まれた!?)

[メイン] 蛇の悪魔 : 「僕の術で拘束させてもらうよ。」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……ざけっ……」

[メイン] 十六夜咲夜 : 咄嗟に指を鳴らそうとして

[メイン] 蛇の悪魔 : 印を結び。
「涅槃精舎の術!」

[メイン]   : 咲夜の辺りは、白い羽の幻影に覆われる。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「何……ッ!?」

[メイン] 十六夜咲夜 : ……急に、何か……

[メイン] 十六夜咲夜 : 幸せな……感覚……が……

[メイン]   : この白い羽を見た者は、まるで桃源郷にいるかのような快楽に陥り、安穏たる眠りへと誘う。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「…………」

[メイン] 蛇の悪魔 : 「これで終わり…だね。」

[メイン]   :  

[メイン]     : 『十六夜』

[メイン]     : 『咲夜』

[メイン] :  

[メイン] エイハブ : 「───」
終わった。出るまでもなかったな、と思おうとしたその時。
突如、走る───『悪寒』

[メイン] : 「…………!!」

[メイン]     : 『……』
『来たか……』

[メイン]     : ───刹那。

十六夜咲夜の額へと、引き寄せられたそれは───。

[メイン]     :


───DIOの額の『遺骨』

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……?」

[メイン]     : 突如、咲夜に雪崩れ込む───

『記憶』 それは

[メイン]     :  

[メイン]     : 『ディオ・ブランド―』

[メイン]     :  

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……」

[メイン] エイハブ : バカな……!!!

あれは───……!!?

[メイン] 蛇の悪魔 : 一旦離れ、マキマの所に戻る。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……ディオ……ブランドー……」

「父さん……」

[メイン] : 「……?」

[メイン]     : 『恐れるな』

 『そして 引き込まれるな』

『私の声だけを聴けばよい……』

[メイン]   :  

[メイン] ザ・ワールド :

 ゥン

[メイン] エイハブ : 「───!!?」

[メイン] 十六夜咲夜 : 必要なものは『わたしのスタンド』である。

[メイン] 十六夜咲夜 : 『ザ・ワールド』

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……そう。『ザ・ワールド』」

[メイン] 蛇の悪魔 : 「マキマ様、どうやら彼女は……」

[メイン] ザ・ワールド : ───咲夜の『傍』に佇むそれは
ニタリと口角を上げ、その深紅の瞳を妖しげに光らせる。

[メイン] マキマ : 「そうだね。下がっていいよ。」

[メイン] 七七 : 「……あれは……」

[メイン] 蛇の悪魔 : 「了解しました…」
──姿を消す

[メイン]     : 『───乗り越えろ咲夜』
『恐怖を克服した者が……成長できる』
『そして……"支配"する事も』

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……お嬢様が言ってたのはこういうことだったのね」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「これが……これがッ!!!」

[メイン] エイハブ : 「『遺骨』が……彼女の『額』に吸い付いて……」

[メイン] エイハブ : 「そして───『世界』の"スタンドヴィジョン"が……彼女の傍に佇んでいる……
 俺の見た時よりも……その輝きが、嫌に増している……!!!」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「天国へ行く方法……完全に『理解した』わ」

[メイン] エイハブ : 「───『天国』……?」

[メイン] マキマ : 「ふむ……天国」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「そして、これからやるべき事も……」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] エイハブ : 「…………」
いや、続ける。
なおさら……この刀に彼女が、触れなければならない。

[メイン] エイハブ : 俺は『ステルス』のまま
彼女へと接近する───まだ追い込め切れていないが
少しでも動かなければ……何か、まずいッ!!

[メイン] 十六夜咲夜 : 「そこかッ!!」

[メイン] エイハブ : 「───!!!」
ステルス、消音状態にも関わらず。
『気配』だけで───

[メイン] マキマ : この距離からは…私は間に合わないか。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「『無駄』ァッ!!」

[メイン] エイハブ : 速いッ
アヌビス───を引き抜くよりも、遥かにその拳は……!!!

[メイン] ザ・ワールド :  

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ : 死───……

[メイン] : ぼこん。

[メイン] : 柔らかい肉塊に、穴の開く音は━━まるで、既に腐っているようで。

[メイン] エイハブ : ───音。

その音の気味の悪い耳障りは、聞いたことがある。

[メイン] エイハブ : そう、あのナイフの雨霰……それを喰らいかけた時。

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ : 七七───。

[メイン] : 「……だいじょう、ぶ?」

[メイン] エイハブ : 「ああ───『頼める』か……いや、二言はいらないな」

すでに『頼んでいる』のだから。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「チッ……!」

[メイン] 七七 : 「……。」

[メイン] 七七 : 左脇腹に穴を開けたまま、そこに、立っている。

[メイン] 七七 : 「━━あなたは、敵」

[メイン] エイハブ : その───『静寂』とも言える出で立ち。
幼気な少女なはずだが、そうとも思えない……矛盾すら感じる神秘的な出で立ち。

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ : ───クワイエット……。

[メイン] エイハブ : 俺は、もうその傍に立つ事のない者の名を、脳裏に過ぎらせながら
気配を、音を殺し、一旦離れる。
気配という『匂い』を、覚えさせないよう断ち切るように。

[メイン] 七七 : 「……。」

[メイン] 七七 : 「やってみなよ。」

[メイン] 七七 : 挑発するように。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……『ザ・ワールド』ッ!!時よ止まれッ!!!」

[メイン] ザ・ワールド :  

[メイン] 七七 :       ・・・・
「そっちは、もう知ってる。上があるんでしょ?」

[メイン] 七七 : じっと咲夜を見つめ。

[メイン] 十六夜咲夜 : 『ルナ・ダイヤル』。
その『能力』そのものは『ザ・ワールド』を凌駕するもの。
ではなぜその『世界』が必要なのか。

[メイン] 十六夜咲夜 : 必要なのは、そのビジョン。

[メイン] 十六夜咲夜 : 彼女が、そして彼が『上』に至るためにした判断は

[メイン] 十六夜咲夜 : 『逃走』。

[メイン] 十六夜咲夜 : 狙いは、近くに存在するはずの

[メイン] 十六夜咲夜 : 『Dirty deeds done dirt cheap』

[メイン] 十六夜咲夜 : 次の瞬間、彼女はノーモーションで既に『走り出して』いる

[メイン] : 「……」

[メイン] : がしり。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……!?」

[メイン] : 「『時を止める』……そして、『加速させる能力』……だったよね。」

[メイン] 七七 : ・・・・・
     「『生物以外を』」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「せ……生物以外……?」

[メイン] 七七 : ゆっくりと、その量の足を掴む手を実体化させる。

[メイン] 七七 : 「うん。あなたは自由に動けるのは、そういう能力━━だから。でも」

[メイン] 七七 : 「ナイフが動くのは、それがその瞬間……生きていないから」

[メイン] 七七 : 魂までは、時間で制御できない━━だっけ。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「な、何を言ってるの?私の能力は……」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……っ、離しなさい……っ!」

[メイン] 七七 : 「……。」

[メイン] 七七 : 「……知ってる?エンバーミング。」

[メイン] 七七 : 「そこらの死体は朽ちちゃうけど、『キョンシー』はね。」
「長い年月でも、腐らないようになってるの。」

[メイン] 七七 : 「だから、あなたがどれだけ時間を止めて、飛ばしても━━」

[メイン] 七七 : 「……この手は、朽ちることなく━━離れない。」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……」

[メイン] 十六夜咲夜 : 止めれば?
力が弱まるわけじゃない。

[メイン] 十六夜咲夜 : 加速させて朽ちさせる……
彼女が前置きした以上それは無理……

[メイン] 十六夜咲夜 : 私を加速させ……
別に物理的に早くなるわけじゃ……

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……振りほどけない!?」

[メイン] 十六夜咲夜 : ……いや、違う!今の私にはアレが……!

[メイン] 七七 : 「……」

━━ああ。

[メイン] 七七 : これほどまでに『生』を渇望しているのに。
この『シタイ』が誰かの助けになるのなら。

[メイン] 七七 : 『運』められた『命』だなんて、クソ喰らえ。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「『無駄』ァーーーーーッ!!!」

[メイン] 七七 : 「……。」

[メイン] 七七 : どれだけの拳が、脚が、襲い掛かかったところで。

[メイン] 七七 : ━━既に、それを反射的に離してしまうほどの……痛覚は、ない。

[メイン] 七七 : 「……うん。それをやめた時が、あなたの最期。」

[メイン] 十六夜咲夜 : 『ルナ・ダイヤル』

[メイン] 七七 : 「『我慢比べ』と行こうよ。」

[メイン] 十六夜咲夜 : 時間を、自在に操るその能力に

[メイン] 十六夜咲夜 : 『時を戻す』ものは、含まれていない。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「うあああああッ!!!!」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッッ!!!」
必死に拳を叩き込んで……

[メイン] 十六夜咲夜 : ……あ。ダメだ。

[メイン] 十六夜咲夜 : あくまで、借り物の能力であるその『ビジョン』

[メイン] 十六夜咲夜 : それを得たばかりで、ここまで酷使して

[メイン] 十六夜咲夜 : 保つだけの『精神力』は、彼女にはない

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……私が」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン]     : 『咲夜』
『私がついている』

[メイン]     : 『───打ち込め』
『『拳』を……打ち込み続けろッ!!』
『私の『娘』だろう───?』

[メイン] 十六夜咲夜 : 「父さ……ッ」

[メイン] 十六夜咲夜 : この瞬間

[メイン] 十六夜咲夜 : 皮肉にも、脳内に響いた声に気を取られ

[メイン] 十六夜咲夜 : ……拳の雨が、綻んだ

[メイン] エイハブ :


───七七

[メイン] 七七 : …………。

[メイン] 七七 : ちゃんと、追い込ませた。
……だから、今度は━━『頼んだ』よ。

[メイン] エイハブ :

───"了解"した……!

[メイン] エイハブ : 突如、咲夜の死角から"現れる"
───もう一匹の"蛇"

その義手に握られていた妖刀を───

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ : 咲夜の腕に

斬りつけるのではなく、ただ───添えた。

[メイン] アヌビス神 : …………

[メイン] アヌビス神 : 許せ、DIO様……。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「っ!?」

[メイン] 十六夜咲夜 : もう一つの意識が、流れ込む

[メイン] アヌビス神 : 雪崩れ込ませるッ!!!

こっちも『我慢比べ』だ───…………!!!

[メイン]     : 『『アヌビス』───』

『キサマ……!!!』

[メイン]     : スタンドの精神力───そして能力による強制力。
それは侮りがたい物。

[メイン]     : たとえ、執念深い
深い、深い……あまりにも深い感情で『支配』しようとしても。

[メイン] アヌビス神 : 絶~~~~~~~~~~~~~~~~…………

[メイン] アヌビス神 : 対にッ!!!

負けないッ!!!

[メイン]     : 刹那、咲夜の額から───

[メイン]     :  

[メイン]     : 『遺骨』は弾け飛び、遠くへと……飛んでいく。

[メイン] マキマ : 「………………」

[メイン] エイハブ : 「……ハァーッ……ハァーッ……」
額から汗が滲むどころか、滝のように流れる汗。

[メイン] 七七 : 「…………」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……父さ……お嬢……様……」

[メイン] マキマ : 「お疲れ様でした。」

[メイン] 七七 : うつ伏せた姿勢で、終わりもわからぬまま両の脚を握っている。

[メイン] エイハブ : 「───大丈夫だ……

 『摘出』した」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] エイハブ : しかし───『遺骨』はどこへいった?
…………見当たらない。あれほど目立つはずだというのに。

[メイン] 七七 : 「……終わったの?」
むくり、顔だけを起こして。

[メイン] エイハブ : 「…………まだだ
 だが……彼女は救われた、はずだ」

[メイン] マキマ : 「そうですね。では…戻りましょう。」

[メイン] 七七 : 「……離していいの?」

[メイン] エイハブ : 「ああ……これより『帰還』する……」
七七の方に目をやる。

[メイン] エイハブ : 「大丈夫だ。もう……"敵"じゃあない」

[メイン] エイハブ : 「ありがとう、七七」

[メイン] 七七 : 「……」
こくん。

[メイン] 七七 : ぱ、と手を解く。

[メイン] 七七 : やがて、ところどころ歪に凹んだ全身を起こして。

[メイン] 七七 : 「ばいばい。」

[メイン] 七七 : 二人の影をとてとてと追う。

[メイン] エイハブ : 「…………アンタ、名前は……訊いてなかったんでな」
ふと、立ち止まって咲夜に目をやる。

[メイン] エイハブ : 「『ブランド―』ではないんだろう」

[メイン] エイハブ : 「───いや……いい、それだけでもわかるのなら

 父親の事は忘れろ…………血の繋がりが、全てではない」

[メイン] エイハブ :
      サダメ
「その血の、運命を背負わなくてもいい」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……十六夜」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「十六夜咲夜……」
訳も分からず。名を聞かれたことだけを悟って。

[メイン] エイハブ : 「……十六夜 咲夜……

 アンタは、操り人形でも、殺人人形でもない
 『幻在』を見ていただけに過ぎない……」

[メイン] エイハブ : 「お前は、お前だ」

[メイン] エイハブ : 「…………」
そう言い残し、エイハブは七七と足並みを揃え
財団施設へと戻っていく。

[メイン] 七七 : ━━かしり、とペンが紙の上を走る音。

[メイン] 七七 : 「……覚えた。」

[メイン] 十六夜咲夜 : ……それを聞いて、微笑んで
眠るように、その場に崩れ落ちた

[メイン] マキマ : さて………飛んで行った遺骨はどうしましょうか。

[メイン] マキマ : 「………………」

[メイン] エイハブ : 「…………」
静寂。まるでそれは。

[メイン] エイハブ : 嵐の

前触れのように。

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ :  

[メイン] ジョジョ :

[メイン] ジョジョ :

[メイン] ジョジョ :

[メイン] ジョジョ : 「そうか。彼はもう『帰る』事が出来たんだね」

[メイン] ジョジョ : 「……ぼくもきっと、もうすぐ帰らないといけないんだろう。死人はいつまでも、いちゃいけない」

[メイン] ジョジョ : 「だけど……まだ一つやる事がある」

[メイン] ジョジョ : 彼の遺した、『石仮面』と向き合って

[メイン] ジョジョ : この時代にまで名を残した彼のように、ハンマーを持って、それを叩き割った

[メイン] ジョジョ : 「『大袈裟かもしれないけど、世界は救われた』」

[メイン] 神原駿河 : 「……そうだな」
「きっと、そうに違いない」

[メイン] マキマ : 「そうですね。ですが…」

[メイン] マキマ : 「まだやる事があります。」
DISCを拾い上げる。

[メイン] ジョジョ : 「……」

[メイン] デンジ : 「アー?なんだそりゃ、マキマさん。」

[メイン] マキマ : 空へと投げ。

[メイン] マキマ : 「ぱん。」

[メイン]   : DISCは、粉々に砕け散る。

[メイン] 神原駿河 : 「……今のは」

[メイン] 七七 : 「……?」

[メイン] マキマ : 「…通信で聞いていた、スタンドのDISCです。」

[メイン] マキマ : 「これで、任務完了と言えるでしょう」

[メイン] アヌビス神 : 「…………何がなんだかわかんねェ~が……これで全て、終わったのか」
刀身だけになりながらも、地面に突き刺さり。

[メイン] 神原駿河 : 「……ああ、終わったんだ」

[メイン] マキマ : 「えぇ、終わりましたね。全てが」

[メイン] 七七 : 楽しげにぱきぱき、と仮面の残骸をさらに細かく踏み潰す。

[メイン] ジョジョ : 「……ああ。終わった」

[メイン] 神原駿河 : 「……あの悍ましい石仮面も、砕けてしまえは新雪のようだ」

[メイン] デンジ : 「つーかよ…………マキマさん以外知らない人だらけなんだけどぉ!?」

[メイン] ジョジョ : 「ぼくの役目も……」

[メイン] ジョジョ : ジョナサンの身体は既に端から薄まり始めていた。

[メイン] 七七 : 「七七だ。」
デンジの方をくるりと。

[メイン] マキマ : 「………………貴方も、でしたか。」

[メイン] デンジ : 「七七かァ〜!よろしくなァ〜!!俺あデンジだ」

[メイン] 神原駿河 : 「……貴方も、なのですね」

[メイン] 七七 : 「でんじ……」
メモを取り出そうとしたところで、ジョナサンに気付く。

[メイン] デンジ : 「消えかかってんけど……あんたも行っちまうのか?」

[メイン] ジョジョ : 「ぼくも元々あの日死んだ人間だ。ディオと同じで」

「そうあるべき場所に戻るだけさ……」

[メイン] 神原駿河 : 「…ジョースター卿、今なら子孫の方々に遺言などが残せるかもしれない」
「何か、伝えたい事は」

[メイン] ジョジョ : 「そうだな……」

[メイン] 十六夜咲夜 : その場に、目を覚ました彼女がやって来る

[メイン] マキマ : 「…目覚めましたか。」

[メイン] ジョジョ : 「……?」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] 七七 : 「『さくや』。」

[メイン] 神原駿河 : 「!」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「また奇妙な感覚を感じてやってきたら……父さんじゃない、のね」

[メイン] ジョジョ : 「父さん……?」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「私は……」

[メイン] ジョジョ : 「……まさか……ディオの……」

[メイン] 七七 : ……こくり。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……ええ」

[メイン] ジョジョ : 「君たちが戦った『ザ・ワールド』は……もしかして、彼女だったのかい?」

[メイン] 七七 : 「……うん。でも、今は、大丈夫って。……ね、まきま」

[メイン] マキマ : 「えぇ、今の彼女なら大丈夫でしょう」

[メイン] ジョジョ : 「……そうか」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「何の根拠で……」

[メイン] マキマ : 「残念な事に、貴方の名前を聞いた彼はもう逝ってしまいましたからね。それに…」

[メイン] ジョジョ : 「……そうだ、遺言だったね。これは、ぼくの子孫だけじゃなくて……きみにも聞いてほしい」

[メイン] ジョジョ : 「血の運命……確かに逃れられないものかもしれない」

[メイン] ジョジョ : 「だけど……『逃げる』ことはできなくても、『断ち切る』ことはできる。それを、覚えていてほしい」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……貴方、何様のつもりよ。どこの立場でそれを言ってるの」

[メイン] アヌビス神 : 「……十六夜 咲夜……

 アンタは、操り人形でも、殺人人形でもない
 『幻在』を見ていただけに過ぎない……」

「お前はお前だ」

[メイン] アヌビス神 : 「……そう アイツは言っていたな」

[メイン] ジョジョ : 「そうだね……紳士として失格だった。この場にいる人全員に、挨拶をしていなかった。改めて……」

[メイン] ジョジョ : 「『ジョナサン・ジョースター』」

[メイン] ジョジョ : 「『ジョジョ』だ」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……『JOJO』……」

[メイン] 神原駿河 : 「……ああ」

[メイン] 七七 : 「うん。」

[メイン] ジョジョ : より一層、その姿は薄まって

[メイン] デンジ : 「ジョジョか……付き合いとしては、短い間だったが覚えておくぜ」

[メイン] アヌビス神 : 「フッ……聞き覚えしかないさ
 ジョナサン・ジョースター…………おまえの雄姿……『覚えた』ぞ」

[メイン] ジョジョ : もうそこに、ひとりの『紳士』の姿は残っていない……

[メイン] : 一八八九年 2月7日
ジョナサン・ジョースター 死亡

[メイン] : 二〇XX年
ジョナサン・ジョースター …………

[メイン] :

[メイン]   :  

[メイン]   : 「───そして "時は動き出す" 」

[メイン]   : ジョジョの奇妙な冒険

    戦闘卓流  完